●人形作りや上演会について 収集していく中で、人形作りにも興味を持ち、大阪や山形の人形師の元で学び作製されています。 人形を作製した後は、演じることにも興味を持たれ、公民館や老人会、小学校等で上演をされています。「人形芝居の良さを少しでも多くの人に知ってもらいたいので、依頼があれば頑張って演じたい」と話してくれました。 また、三谷さんが即興で人形芝居のひとコマを演じてくれたのですが、人形の表情は繊細で、目・眉・口の動きとともに顔が瞬時に変化する仕掛け等があり、とても新鮮な気持ちで拝見させていただきました。
「人形や仏像・刀なんかには魂が宿るんやな」 今回、取材をさせていただいた三谷さんのお言葉です。何気なくおっしゃられたのですが、人形の収集をされて40年以上、その、お言葉には大変重みがありました。
●人形の収集について まず、阿波から人形芝居(三人遣い)が海を越えて和歌山に来ていたが、明治の終わりから大正にかけて衰退し、旅館の代金として人形を置いていったという歴史を教えていただきました。 そして、もともと文楽に興味があった三谷さんが、それらの人形に関心を持ち収集が始まったそうです。はじめは20体だった人形も現在では500体以上、ご自宅で大切に保管されています。それらの人形を眺めながら「自然と集まって来ていると感じる時もあるな」と話されていました。
●その他、収集や作製されているもの 凧の収集もされており、ご自身でも作製されています。「和凧には浮世絵が多く使われているやろ、だから好きなんやな」と話してくれました。 また、紙をはり合わせて作製していくお面(獅子舞)や張り子作りもされています。公民館サークルでは、毎年、地域の方々に干支の張り子作りのご指導もされるそうです。 ※ 私たちも、今年の干支(いのしし)の張り子を頂きました。ありがとうございました。
●今後について 紀南地方の人形芝居について記し、文献として残していきたい。という希望を伺いました。
●最後に 三谷さんは、単なる人形の収集家ではなく、趣味の域を超え本格的に人形の研究に取り組んでおられ、人形に対して大変熱い想い持つ方でした。また、「是非、三谷さんの上演会を拝見したい」。そう思わせてくれるとても素敵な方でした。
●プロフィール 【三谷 弘さん】昭和5年9月18日生、現在76歳。 上富田町で生まれ育ち、終戦後に小学校臨時教員養成校を経て教員になられる。 田辺第一小学校で教員生活を始められ、はまゆう養護学校にて退職。 現在は、岩田公民館長としてご活躍されています。
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